2016年8月31日水曜日

マルサン「ゴジラ」の復刻版プラモデル

~CLASSIC PLASTIC MODEL KITS~
(第88回)

前回、マルサンの電動怪獣プラモデル「ゴジラ」を紹介しました。
今回は、復刻版との違いなどを紹介いたします。


復刻版はM1号とノスタルジックヒーローズ(以下ノスヒロ)から発売されています。
両社共に、見た目は初期発売の英字ロゴ版をベースに制作されました。


●M1号のマルサン「ゴジラ」(1997年末発売)
プラモパーツを全てソフビに置き換えた組立式。価格は6500円。電動機能や足裏タイヤなどは無し。ソフビ製なので、組立てるにはそれなりの技術が必要。リモコンBOXもソフビで再現され、リモコンコードは本物が入っているので、組立てれば見た目はマルサン電動ゴジラとなります。
おまけとして、原寸の「初期組立書」「足軸金属版の改変組立書」「マルザン版の組立書」の3種類と「赤ちゃんシリーズ」のソフビゴジラ(復刻)が付いています。

M1号復刻版は歯尖り、右腰の「宝」刻印無しのタイプになっています。
箱上には「復刻シリーズ・・・・・」の文字。 付属の組立書3種はオリジナルそのままのコピーではなく、品番に「‐」などを加え、微妙に変えてあります。復刻シリーズ第二弾は「大魔神(ソフビ)」でその後は出ていません。



●ノスヒロのマルサン「ゴジラ」(2000年頃発売/告知では1999年11月)
新設計の130モーター組込み済ギアボックスと目玉用赤色麦球を付け、歩行プラモデルとして復刻。価格は5800円。成形色はオリジナルに近い茶色(濃いタイプ)が基本ですが、グレー(発売当時、カートンに1個との噂)や金色、そして内部が見える赤透明色、イベント限定の無色透明もあります。ノスヒロ復刻版は右腰の「宝」刻印有りのタイプになっています。


見た目はオリジナルだが、中身は新設計。
当時のゴジラは足踏みするだけでちゃんと前に進まないと言われてきたが、ノスヒロのゴジラは写真のように足裏タイヤ周りや歩行システムなどを新規設計し、「ちゃんと歩くゴジラ」を目指して制作されています。 復刻二弾にマルサン電動「ウルトラマン(組立プラモ)」もあります。



●バンプレストのミニプラモ「ゴジラ」(2004年12月発売)

見た目はマルサンの「ゴジラ」なのでおまけ紹介。
食玩TOYブームに乗ったマルサンとバンプレストのコラボ企画。「ミニプラモデルコレクション」の一つで定価525円(税込)。ゴジラ以外にバラゴン、エビラなどもあります

商品には塗装済みと塗装無しの2パターンがあり、上画像は塗装ありの物。シークレットはグレー色のゴジラ。 イベント会場限定で成形色が金や銀、他色なども発売されました。
ノスヒロ版との比較画像。

そのまま縮小されたかのような素晴らしい造形。
左はノスヒロ版。ミニプラモの体にはプラモで再現されたギヤボックスがちゃんと入っているというこだわり。このミニプラモに動力を組み込み、電動リモコン歩行に改造させているマニアもいます。


最後に、オリジナル箱との違いを紹介。



側面の黒文字をみると、復刻版は「英字ロゴ版一般箱」を参考にしているのがわかります。(英字ロゴ版一般箱については前回紹介)


総合的に、M1号版は箱正面に、ノスヒロ版は箱側面にオリジナルとの違いを出しているのがわかります。

復刻版は安値で気軽に入手できますのでお勧めです。
ぜひ、電動歩行する怪獣プラモデルを組み立て、当時を疑似体験して楽しんでください。
ノスヒロの復刻版第二弾のマルサン電動「ウルトラマン」も、しっかりと歩きますので、そちらもお勧めです。


絶版プラモデルの探究は本当に面白いですね。
ぜひ、今回の逸品も、コレクションにお加えください。

みくに文具 上田大)
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2016年8月20日土曜日

ゴジラのプラモデル マルサン編

~CLASSIC PLASTIC MODEL KITS~
(第87回)

今回は、「ゴジラ」アニメ化記念として国産「ゴジラ」プラモデル第一号の紹介です。

今回紹介するのは、最初期のマルサン電動プラモデル「ゴジラ」を詳しく、
そして次号では、気軽に入手できる復刻版を紹介いたします。


このマルサン電動プラモデル「ゴジラ」は、まだソフビ怪獣も存在しない世界に突如現れた、国内怪獣玩具第一号です。現在まで続く怪獣玩具(TOY)の流れは、ここから始まっています。正確な発売時期は未確認ですが、1964年末と言われています。

ゴジラは、怪獣プラモデル第一号ですから、当然、マルサン怪獣プラモデルの中では発売期間も一番長いため、マルサンロゴの変更に伴い、ロゴ違いの箱が存在しています。

ロゴ違い3タイプです。初期発売箱と言われている物は、英字のマルサンロゴの物です。

各タイプの正確な発売時期も不明ですが、マルサンロゴの使用期間から推測すると、英字ロゴ版は1964年末~プラモロゴ版は1966年~マルザンロゴ版は1967年末~頃と思われます。
また、プラモロゴ版には、側面のGODZILLAロゴが「黒色」「青色」の2種類が確認されています。


初期発売、最高峰のマルサン英字ロゴ版「ゴジラ」です。


この初期発売、最高峰のマルサン英字ロゴ版「ゴジラ」は、下画像の少し小さい左の組立書が入っている物が、初期出荷物と言われ、さらに貴重なお宝となっています。
改訂版の右側組立書は約A3で両面刷りです。このA3版への切り替えは、初期組立書が細かくわかりずらいのと、裏面のぬり絵に、ぬり絵応募の締切日が書かれているため、締切日後の使用ができなくなったためと思われます。このA3版は、マルザンロゴ版登場まで使用されることになるので、金型修正による改訂版もあります。(←2021年ではもう少し違う解釈になっています。)

実は、初期出荷物は「箱」にも違いがあり、その最初期箱は、さらなる超激レア品となっています。

違いは、箱側面にあります。
※一般箱の側面画像はゴジラTOY博物館(発行/株式会社バンダイ)より

側面、最下段の「リモートコントロール、モーターTKK13、単3 2本使用」の黒文字が、一般箱では、ゴジラの赤文字ギリギリまで上に寄せられています。
これは、下段ギリギリの位置にあった黒文字まで裁断される場合があり、その対処法として、できるだけ黒文字を上にずらしたためと思われます。 マルサン商店「初」のキャラクタープラモデルですから、社として力も入れ、直ぐに対応したのでしょう。

当時の裁断技術は、現在のように正確ではないため、下段の文字が半分しか無かったりと、1960年代の「プラモデル箱」には割と良く見かけるミスです。裁断が少し斜めになっていたりする物も、そのまま出荷されたりしている時代でした。

裏面がぬり絵になっている初期組立書は、ぬり絵応募の締切が、「昭和40年(1965年)1月31日」と記述してあります。当然、1月31日直前出荷ロットの組立書は、A3版に切り替わっているので、この初期出荷物は、ほんの1ヶ月程の期間しか市場に流れていなかったことになります。コレクター間では、日東科学の黒箱ガメラと同じく、人気の高い、謎の逸品となっています。(←2021年ではもう少し違う解釈になっています。)


絶版プラモデルの探究は本当に面白いですね。
ぜひ、今回の逸品も、コレクションにお加えください。

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