絶版プラモデル情報局: 今井科学の「魔法使いサリー」

~CLASSIC PLASTIC MODEL KITS~

（第218回）

今回は日本初の少女向けアニメ「魔法使いサリー」のプラモデルを紹介いたします。メーカーは今井科学です。

わりとよく見るパッケージ版はこれだと思います。
●再販「魔法使いサリー」（1970年代発売）

箱のサイズは約15.5×22.5×4センチ。品番はB-022-300で当時価格は300円。

50年史データーベースによると1971年発売。
カラフルな成形色はそのままで再販されていますが、初版についていたデカールは無し。組立書は初版とは別物で新規の物です。
箱絵のサリーちゃんは右手をあげていますが、完成品は左手をあげています。
版権シールが「長靴をはいた猫」デザインではなく、稀に画像のような「東映ロゴ版」も確認されています。東映ロゴのものは250円版では？と見ていますが、今のところは未確認です。
この再販版はキャラクター絶版プラモデルが注目され始め出した80年代に、ある程度の数が発掘＆流通されたらしく、美品を多く見かけるのはそのためです。現在は数年前よりも、さらに安値で入手できるようになっているので、入手がまだの方は今が狙い時です。

●初版「魔法使いサリー」（1967年発売）
箱のサイズは15×21×4.7センチ。品番はKit.No.230で当時価格は150円。

イマイフレンドシリーズNo.1。フレンドシリーズは、このサリーちゃんのみで終了。
女の子向けのプラモデルとして開発されたようで、画像で紹介しているように袋を止めるタグも赤色を基調にしています。
版権シールはサリーちゃんの顔デザインで、初版にはデカールが付いていました。
デカールの前襟が白色ではなく黄色になっているのも興味深いです。当時のソノシートにも前襟が黄色になっているサリーちゃんがいたり、クリーム色だったりと、そのあたりの色指定情報が十分に行き渡っていなかった時代です。
元は白黒作品で途中からカラー作品になったのも原因の一つだと思います。
パッケージ画のみで考えると、初版、再版、復刻の前襟色は服と同色になっているので、直組でも違和感がでないように配慮がされていたのかもしれません。

「魔法使いサリー」は、日本初の少女向けアニメということで、プラモデルでも国内初の美少女プラモデルかというと、どうもそうではなく、数日前に「リボンの騎士」のサファイアが発売されているので、美少女プラモ第1号は「リボンの騎士」ということになりそうです。
プラモデル50年史データベースでは両者1967年7月発売と登録されていますが、今井科学研究者として有名な伊藤秀明による著書「今井科学キャラクタープラモ全集（学研）」によると、「魔法使いサリー」は7月20日発売、「リボンの騎士」は7月17日発売と紹介されています。また、上画像のように、箱側面に「リボンの騎士」が紹介されているところを見ても、開発も「リボンの騎士」が先行だったと推測できます。

●復刻版「魔法使いサリー」（1999年発売）

箱サイズは25×17×4.6センチ。品番は830344-1200で当時価格は1200円。イマイ　コミックキャラクターシリーズNo.5。今井科学の60年代キャラクタープラモデル復刻ブームに乗った商品。
70年代の再販同様にデカールは無し。復刻版パッケージのサリーちゃんも、再販と同じく右手をあげていますが、当然完成品は左手をあげています。
下箱には出荷年月日印が押されています。この時期の復刻版にはすべて押されているので、出荷年月を確認するのに便利です。画像の物は平成11年9月3日印。

組立書は70年代再販時の物を、メーカー名のみを変更して使用されています。