~CLASSIC PLASTIC MODEL KITS~
(第332回)
SF人形劇「サンダーバード」「キャプテンスカーレット」に続き、1968年10月から放送が始まった「ジョー90(JOE90)」。
プラモデルと言えば、「あのタミヤがキャラクターものを!」と、話題になったタミヤ製ジョー90シリーズが、その完成度の高さや当時の衝撃とともに紹介されることが多い印象です。一方、バンダイ製のジョー90シリーズは、取り上げられる機会も少なく、初版と再版の存在についても、あまり知られていないようです。
初版と再版は、パッケージデザインがよく似ていますが、わかりやすい違いがあります。
上図のように、再版はパッケージ下部分に余白があり、縦長で大きいです。下部余白には横太線が入っています。少々わかりにくいですが、再販は横幅も若干大きくなっています。
また、後ほど紹介しますが、再版箱側面にはST表記があります。
組立書にも違いがあります。
再版には右上に、品質表示に関するの表記が追加されています。
それでは初版と再版を紹介していきます。
(初版)
コレクションを買うも売るも、ぜひ、プラモデルに強いタイムボックスにお任せください。
当時価格は100円で、箱サイズは12×19.5×3.5cm 。両車ゼンマイ走行。箱中に帯は無し。
品番は「サムズカー(PD1-100)」、「マックスカー(PD2-100)」。
初版のマックスカーの成型色は再版よりも濃い緑色に感じます。ただし、現時点で2種を並べての比較できていないため、あくまで写真からの印象です。
サムズカー、マックスカー共に完成全長は約11cm。発売時期は50年史データベースなどに1969年1月と記載されていますが、要検証と感じています。品番がアルファベットで始まっていることから、目玉バンダイロゴの最初期の製品群に属すると考えられます。それらを踏まえると、1969年の夏前後ではないかと推測しています。
(参考品番)
剣道(PB2-600、1969年6月)、アポロクレーター(PS/F6-350、1969年8月)
(再版)
バンダイオリジナルの版権キャラクタープラモデル第1号、
低価格帯の商品に限定して権利取得を図ったものの、今井科学の財務状況やタミヤとの権利関係など、何らかの事情で商品化に至らなかった可能性も考えられます。
そして、その商材をバンダイが引き継いだのでしょうか。
今井科学は1969年7月に第1回目の不渡りを出し、事実上の倒産に至ったとされています。そのため、もし同社が関係していたとすれば、倒産前の資金繰りの中で金型などを売却した可能性や、倒産後に何らかの形で引き継がれた可能性も考えられます。
「タミヤ模型にさきがけ、100円版「ジョー90」の「マックスカー」、「サムズカー」を発売。これらは発売時期を見て、バンダイが引き継いだ旧コグレ工場の製品と思われる。」
「タミヤ模型にさきがけ」という記述は、1969年1月発売という説を前提にしたものと思われますが、発売時期については、先に述べたとおり、引き続き検証が必要と考えています。
一方、旧コグレ工場の製品とする見方については、パッケージデザインや組立書の構成などにコグレ製品との類似性が見られることから、興味深い指摘だと考えます。
バンダイ版「ジョー90」誕生の仮説
ここからは、現時点での私の考察です。
考えられるシナリオのひとつは、金型製作には今井科学が関わり、何らかの事情で商品化できなかったものをバンダイが引き継ぎ、当時バンダイに合流していたコグレのスタッフがパッケージや組立書を制作して商品化した、というものです。
ただし、現段階では、金型の製作元や移管の経緯、商品化に至った事情を裏付ける直接的な資料は出会っていません。あくまで、現存する製品と書籍の記述から考えた仮説です。
新たな資料や証言が見つかりましたら、改めて報告いたします。
市場で見かけるものは、ほとんどがこちらの再版です。
当時価格は150円で、箱サイズは14×20.5×3.5cm 。箱左側面にST表記ありで、ST表記無し版は確認されていません。
箱中に帯。再販も両車ゼンマイ走行。
品番は「サムズカー(8711-150)」、「マックスカー(8712-150)」。
この品番にも興味深い点があります。直前の8710番は、激珍品の「仮面ライダー、月光仮面、バロム1、嵐」のキャラメル箱4点セット。続く8713番は、バンダイキャラクタープラモデル最高峰の「デラックス 変身セット」です。この前後の品番からも、ジョー90シリーズがどのような時期に再版されたのか、特別なレア度を感じます。
発売時期については、ST表記の品番から1972年発売と考えられます。1972年は東京12chで再放送された記録があり、今回の再販も、そうした放送に合わせて発売された可能性があります。
バンダイ版「ジョー90」は、どのように生まれたのか?
そこで、ジョー90に関連する書籍に記載された情報を紹介しておきます。
1969年といえば、バンダイがプラモデル事業に乗り出して間もない時期です。倒産後のコグレ製品を取り扱うなど、新たな展開を進めていた時期でもあります。
そんな中、突如市場に投入された版権キャラクターを題材にした、バンダイのオリジナル製品「ジョー90」の2点。謎に満ちた存在と言えます。
残念ながら、商品化の経緯を直接示す証言や資料は、まだ見つけられていません。そこで、ジョー90に関連する書籍に記載された情報を紹介しておきます。
「サンダーバード・プラモデル大全(双葉社/2006年5月30日第一刷り発行)」より
「今井科学は、放送開始時にマックスカーの図面と試作品を作ってプラモ化を検討したが実現されなかった。」との記述があります。
では、今井科学が製品化を実現できなかった理由は何だったのでしょうか。低価格帯の商品に限定して権利取得を図ったものの、今井科学の財務状況やタミヤとの権利関係など、何らかの事情で商品化に至らなかった可能性も考えられます。
そして、その商材をバンダイが引き継いだのでしょうか。
今井科学は1969年7月に第1回目の不渡りを出し、事実上の倒産に至ったとされています。そのため、もし同社が関係していたとすれば、倒産前の資金繰りの中で金型などを売却した可能性や、倒産後に何らかの形で引き継がれた可能性も考えられます。
ただし、今井科学がバンダイに金型を売却したことを示す資料は、現時点では確認できていません。
「キャラクター・エイジVOL.06 (学研/2011年5月17日 第一刷発行)」より
同書の60年代のキャラクタープラモデルを紹介する記事では、バンダイのジョー90について、次のように紹介されています。「タミヤ模型にさきがけ、100円版「ジョー90」の「マックスカー」、「サムズカー」を発売。これらは発売時期を見て、バンダイが引き継いだ旧コグレ工場の製品と思われる。」
「タミヤ模型にさきがけ」という記述は、1969年1月発売という説を前提にしたものと思われますが、発売時期については、先に述べたとおり、引き続き検証が必要と考えています。
一方、旧コグレ工場の製品とする見方については、パッケージデザインや組立書の構成などにコグレ製品との類似性が見られることから、興味深い指摘だと考えます。
バンダイ版「ジョー90」誕生の仮説
ここからは、現時点での私の考察です。
考えられるシナリオのひとつは、金型製作には今井科学が関わり、何らかの事情で商品化できなかったものをバンダイが引き継ぎ、当時バンダイに合流していたコグレのスタッフがパッケージや組立書を制作して商品化した、というものです。
ただし、現段階では、金型の製作元や移管の経緯、商品化に至った事情を裏付ける直接的な資料は出会っていません。
新たな資料や証言が見つかりましたら、改めて報告いたします。
絶版プラモデルの探究は本当に面白いですね。
ぜひ、今回の逸品も、コレクションにお加えください。
(おまけ)
(みくに文具 上田大)
(YouTube) https://www.youtube.com/@tagamedai
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