2018年6月30日土曜日

プラモデル箱のクリーニング

~CLASSIC PLASTIC MODEL KITS~
(第132回)
 
今回の絶版プラモデル情報局は、絶版プラモデル箱のクリーニング方法です。

まさかとは思いますが、「濡れぞうきん」などで、拭いたりしていませんか?
そんなことをしたら、印刷塗料が削げ落ち、大切なお宝プラモデルの箱を痛めてしまいます。

「やっと手に入れた熱望品!!」だけど、ちょっと汚いと感じてしまう箱。
そんな時にお試しください。
今回の参考事例の箱です。
タツノコランドのガッチャマンシリーズ「G-2号」。1973年7月発売。
当時500円でゼンマイ走行でした。完成品の造形も素晴らしいと人気の高い逸品です。
表面、側面に歪みや潰れが大きく、箱の汚れが目立ちます。
汚れを落とし、箱の歪みも直していきたいと思います。


一番簡単なクリーニング方法をご紹介します。
用意するのは、洗剤、タッパー、筆、テッシュ、お湯です。

タッパーにお湯を入れて、洗剤を溶かします。
そして、汚れのあるところに塗って行きます。
上画像で、汚れが浮き上がっているのがわかると思います。
これを、テッシュで、ポンポンとたたきながら吸い取る。これをこまめに繰り返します。

そうすると、テッシュに汚れが移り、下図のように汚れて行きます。
ティッシュが汚れれば、その分、箱は綺麗になっているということです。

これを繰り返すと、下図のように綺麗になります。


汚れ取りの作業は、できるだけ小さな面積で進めていきます。
箱絵には、色の境界線があるので、それを目印に区分けして進めます。
上図のG-2号ですと、区分けは右のような感じです。
筆を走らせるときは、箱絵の筆のラインに沿って下絵をなぞる様に。
そうすると、取りきれない汚れも、下絵の筆ラインに沿って薄くなるので、目立たなくなります。


(まとめ)
●筆で洗剤水を塗るのは短時間で、直ぐにテッシュで吸い取る。水分が箱にしみこむ前にテッシュで吸い取る感じで。これを、繰り返して、少しづつ、汚れを薄くしていく。
●テッシュでこすってはダメ。ポンポン叩いて、水分を吸い取ること。
●テッシュも汚れたらこまめに綺麗な物を使う。
●汚れを落とすのは、「100」落としたいとすると、「70」ぐらいでやめておく。無理して「100」を落とそうとすると、箱にダメージが出る可能性大。
●箱に濡れシミができて来ても、乾けば消えるので気にしない。 ただ、洗剤を溶かしたお湯の汚れで汚くなると、その汚れが箱に付着し始めるので、こまめにお湯(洗剤入)は綺麗な物に取り変える。


★汚れ取りを始める前の注意点です。
(1)汚れなのかカビなのか、見定める。
下図の黒丸は、黒カビです。
カビなので、この方法ですと、黒カビは落ちません。

(2)表面のコーティングを見定める
難しいのですが、1972年以前に発売されたものは、紙質やインク等、耐久性の悪い物を使用している物も多いので、汚れ取り作業はお勧めしません
1960年代でも、今井科学などのように良質な紙やインクを使用している物もあり、現在でもピカピカにしてやることができる物もあります。

特にマルサン系は、紙質やインク等、耐久性の悪い物を使用していたらしく、汚れ取り作業はお勧めできません。触っただけで、インクがポロポロ落ちて来る物も多いので、箱の取扱いに注意が必要なくらいです。

1972年以降でも、50円や100円の低価格プラモデルは、紙質や表面コートが弱い物が多いので、作業には注意と見定めが必要です。(※1972年と言うのは、あくまでも経験上の主観です。)

思ったよりも、長くなりましたので、箱の歪み修正は次回紹介でご紹介します。


絶版プラモデルの探究は本当に面白いですね。
ぜひ、今回の逸品も、コレクションにお加えください。


※学芸員資格は保有してますが、箱補修に関しては独学です。
 
みくに文具 上田大)
 
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